最近高校の頃の(嫌な)思い出ネタが増えてるけど、これもまた引っかかるものが。
「Parisさん、Bってキモくないすか?」 BというのはA君の同期の男性社員である。 A君とB君は新入社員研修を終え、試用期間のような形で私が所属している部署に入って来たのだった。
http://d.hatena.ne.jp/Paris713/20080415/p1
「どうしてそう思うの?」と私は尋ねた。 彼は言った「だってキモいから」
あまりの答えに最初はギャグかと思った。 でもちょっと考えてから思った。 理由なんてないのである。 A君にとって、B君は「キモいからキモい」のだ。
「キモいからキモい」と彼はなんの迷いもなく口に出してしまうのだ。 そこには悪意すらない。 ただの無邪気な感情があるだけだ。
私から見たB君は、大人しくやや消極的な所はあったけれど「真面目で仕事がしっかり出来る人」という印象だった。 お昼休みに1人で仕事の関係の本を読んでいる姿も見かけた。 でも、一部の女子社員の間で「キモい」と言われている事も知っていた。
進路指導のために取られた時間で、将来の進路に関する作文を書かせて発表させるというお決まりの課題が出された。みんなやる気なくなおざりに済ませる中、ある男子が動物園に就職したいという夢を語った。ウーパールーパーへの情熱を熱く語る彼。耳を傾けながら「しまったそれもあったか!!」と心底悔しんだけど、一方で楽しくもあった。
しかし、同時に奇妙なことに気付く。教室の空気がおかしくなってきたのだった。一語で言うと、どん引き。
彼は何度か書いた地味なカップルの片割れで、校内の様子だけで語るなら、母校での数少ない恋愛勝者だった。どちらかというと素朴な容姿で、服装チェックが厳しい中でもかなり地味な部類の着こなしだったが、平均から外れた体型でも不潔な様子でもない。つまり、彼が口を開くだけで周りが引く理由はたった2つしか思い浮かばなかった。所謂チャラ男(「…チャラ男じゃねえよ。ノリが良い奴だよ」)ファッション(あるいはそういう生徒のグループ)でないからか、喋った内容が悪いか。どうやら本格的に引くタイミングからすると、後者らしかった。
その後も大学で「理工系の学部の人はおたくなので友達になるなんて想像できない」的なことを叫ぶ女子学生を見かけたりして、同世代の殆どにとっては気持ちの悪い人の趣味や関心という遡及的ラベリングがあるのが自明らしいと結論付けざるを得なかった。彼らからすれば、自分たちは気持ち悪くなくなるために多大な努力をしており、その中でも気持ちの悪い趣味関心を避けて通るのは重大というか基本中の基本なのだろうなあ、とは思う。思うだけで、ウーパールーパーに熱中する方がずっと楽しそうなのでやりたくはない。