シンガポールの底力

「雨の味」(BS2NHKアジアフィルムフェスティバルを録画)を見た。
気が向いたときだけ労働(楽器店で客が触ったギターを右から左に動かすだけのお仕事)し、幼馴染のコンロン(趣味は寝ながらテレビを見る)と暮らしているシャオチー(趣味は深夜に徘徊して同じ団地の住民が出したゴミを漁る事、嫌いなものは卵の黄身)。ある夜の散歩の最中謎の少女リアと出会い、恋に落ちるが…というお話。当初非常に純度の高いボンクラ生活を送っていたのが乱入してきたナオン(彼女も何処でも寝られるのが特技である辺り、相当のボンクラである)を巡るサークラ的三角関係の様相を示してきて、あっそと思った。
しかしさすが強度の高いボンクラだけあって、展開される争いはナマケモノのようにスローな殴り合いであった。コンロンにリアを取られたくないのでのろのろ逃げ回る(リアから)シャオチー。一方コンロンも執拗に、しかしのろのろとリアを紹介するようにシャオチーに迫r…いや、それはおかしい。自分で話し掛ければいいのに!! もうやだこの非コミュたち。そんな訳で非常に共感を覚えて好感を持ったのだった。

「雨の味」(BS2NHKアジアフィルムフェスティバルを録画)を見た。 気... - 最近観た映画 - torly - はてなハイク

 アジアフィルムフェスティバル的というか、協力: NHKエンタープライズ的というか、そういう絵の作り方をしている作品。中華圏の若手(てほどでもないかもしれないが)の個性なのか、NHKさんの趣味なのかよく分からないが、シンガポールにもこのテイストが脈々と受け継がれている模様。
 他に気づいたことなど。

  • 暗闇でテレビを見ていたコンロンに躓いて(あるいは、そのことで喧嘩をしているうちに)足を痛めたように言ってるが多分嘘。それ以前のシーンで足首(南国のシンガポールで長ズボン)も、長時間歩いている様子も映されない(自転車をこぐシーンはある)のがミソで、実は幼少期に虐待を受けた後遺症では…と思ったが、多分そこまでは穿ちすぎ。
  • 冒頭のバスで隣に座っている少女がリアだったような気がする(主人公のことを知っている風なのもそのため)が、いまいち確信が持てない
  • 病院の壁にpublic free hospitalみたいな文句が書かれていたように思うが、検索してもよく分からない。シンガポールの経済レベルでも、かなりやる気のないフリーター生活を送っている主人公が病院に行けるように無料の病院を出したのかもしれないが、多分穿ちすぎ。
  • コンロンの「旅」は実際には徴兵という設定かもしれないが、やっぱり穿ち過ぎの気がする