文脈を欠くという以上の意味合いで、映像における演技表現は参考にすべきではないのではないか

 テレビドラマ・映画を問わず、最近の国産ドラマは細かいという意味でもありそうという意味でもリアリズムに欠けすぎワロタ。なら外国産だといいってもんでもなかろうし*1、昔の押さえ気味の映画なんかはありそう的リアリズムには勝るが、あんまり参考にはならなさげ。ファッションも大概、フィクション世界内での背景文脈を致命的に欠いているが、それでもある程度現実世界での流行をフォローしてれば参考になる。しかし演技ひたすら酷い。取ってつけたような状況設定に大袈裟な身振り。
 以下に、例として先日たまたま見てツボに嵌ったドラマの話を挙げる。かなり核心に迫ったネタバレだけど、これが再放送だったら多分殆どの人は二度と目にする機会が無いのでしょうがない。逆にいうと、1時間だか2時間だかのドラマのキモがたったこれだけで書き表されてしまうという、そんな密度の演技とシナリオ。
 サスペンスの再放送か何かで、夫に殺意を抱いた人気漫画家が刀を持って現れると、その夫がのんきに「その構えと表情いいね!! 今丁度悩んでたんだ」とスケッチを始めてた。ワロタ。漫画家はエロや人死にを前面に押し出した過激路線に変えるよう通告されるが、そういう描写は不得手なので悩む。とうとう白紙のままネーム締め切りを迎える。朝目覚めると、かつてプロの漫画家を目指していたが挫折した夫が代わりに仕上げてくれていた。その回から人気が急上昇。やがてほとんど夫がネームを考え、原稿を仕上げるようになる。名声とは裏腹、漫画家はすっかり仕事場で空気に。やがてある日彼女は、無名時代からの強い思い入れがある、シナリオ上重要な役割を果たすはずだったヒロインが死ぬ展開に気付く。抗議は聞き入れられず、ヒロインを生き返らせる話を描く為、彼女は夫を殺す決意をする。以上。実は漫画家は自分が殺したと思い込んでるだけとか他の誰かをかばっているだけとかいう描写が続いてあったような気がするが、チャンネルを合わせた母の集中力が切れて変えられたので知らない。
 要らない子になった漫画家が焦ってヒロインのための原稿を描こうとして、女性アシスタントが冷たくあたる場面が露骨すぎてまたワロタ。あらゆる種類のいやがらせや仲間はずれがこんなわかりやすかったら、この世のいじめは全部なくなるとは言わんまでも1/3ぐらいに減るんじゃなかろか。まあ、このドラマの場合は第三者は知らないし知らせる事も出来ない実情が動機という設定であり、漫画家/夫/アシの三者の関係は密室内のことになっているのであまり関係ないが。ともかく、実際職場で大人がいじめをやるのにあれはないだろうし、子供ですらああはしないだろう。同様に、アシが夫を賞賛しまくる動きや声色も露骨過ぎる。ねえよwwwwww
 というような話を、これを見て思い出した。

「第六感」で空気読むのって結局第五感全部使ってノンバーバルな情報を読み取ることだと思う。だから非コミュはおと消しドラマ見たらいいんじゃないかと思う。

はてなブックマーク - bluesy-kのブックマーク / 2007年8月22日

参考

映像を作る上で非常に重要な絵コンテであるが、現在(2007年)、映画やTVドラマなどでコンテが切られる事はあまりないようだ。切ったにしろ、コンテを読める人や、その重要性を理解している者はあまりおらず、従って読める者だけでなあなあでコンテチェックを終わらせるか、力の強い方が押し通すだけという場合が多いのが現状である。

絵コンテ - Wikipedia

 文脈強者にファックされる物語作りの現場…!!

*1:例えばずっと日本育ち日本住まいの日本人が考えるアメリカ人っぽい振る舞いは、おそらくハリウッドによくある演技の型が元だろう。いくらあちらは舞台演劇が映像俳優の基礎教養といっても、「表現が細かい」リアルは即「実際よくある」リアルにはならない。