ちなみに一次性だったり性や動作が抜けてたりもします。primary obsessional slownessて書けばいいか。前回はid:torly:20040828#1093689693にあり。
緩慢で、しかも激しく反復する行為が不合理であることはある程度わかっており、生活が不能になっていることに苦悩しているのに、行為を変えようとする意図や行為への抵抗はほとんど感じられなかった。一方、切毛については、「あってはいけない忌まわしいことである」と考えており違和感が強かった。彼女はこれらの状態が改善し得るとは考えておらずに悲観的であった。
何となく、ちょっと変わった強迫性障害というよりは、長年放置された患者がどうなるかというケースと見なされているような気がしないでもないですが、とりあえず山上氏は治療に挑みます。
- 症状の把握・受療意志の探索・治療目標の決定に1ヶ月を費やす。また、治療を開始した後も、患者が落ち込んだり目的や意志があいまいになるたびに治療を数日から1ヶ月近く中断した。
(前略)自分で決めて欲しい、と告げて患者が希望を表現するまで待ち、受療意志や治療目標を確かめ合いながら治療した。実際そうするしかなかった。
- 行為が生活全般に及んでいるため、訓練を受けた看護士4人を動員。まずは切毛と、始まり・終わりが比較的分かりやすい洗面・外出の支度・部屋の整頓・物を触ることを対象に選ぶ。どれも繰り返しすぎるのが問題なので、繰り返しそのものを修正する方針に。また、患者が自分でコントロールできるようになることを重視。
- まずは一番本人が気にしている切毛から。髪に手を持っていくのがきっかけであることは分かっていたので、ハビットリバーサルに基づいて、髪を触りそうになったらポケットに手を入れる方法を提案。
「はっきり指示されると我慢しようという気持ちが起こる」
ものの、止めるには至らず。 - そこで次は嫌悪手続きに挑む。市販のゴムバンドを手首に巻いておき、髪が気にならなくなるまではじく。これは数日で効果を表わした模様。
- その他、モデリング(看護士と一緒に入浴)・教示・反応妨害・プロンプティング・シェーピング・セルフモニタリング(タイマーを使って自分で入浴に掛かる時間を計る)・ページング等を用いて挑む。軽快するにつれて直接的なモデリングを徐々に外す。しかしながら経過は順調でなく、後戻りすることもしばしば
- そんなこんなで5ヶ月ぐらい経ち、他の患者と入浴を楽しめるぐらいには回復。髪も伸びてかつらは不要に。しかしまだ月に1、2本の切毛はある様子。発話も改善し、空いた時間で病棟での交流や外出の機会も生まれる。後期には他人への配慮も生じ、病が他人の迷惑になっていることを気にする発言が出てきた
- 中期以降になると、治療への積極性が出てきた。しかしながら回復の見込みや将来に対しては悲観的。
一年を経過した頃にやっと、「少し望みが持てるかもしれない」と述べることもあった。
- 気分の落ち込みが数回あった。始めは入浴の治療を始めてから少し経った頃、次は毎日映画に出かけて疲れた時、他にも退院後の生活を悲観して落ち込む。いずれも数日から数週間だったが、
薬物はクロプラミンをはじめとする抗うつ薬、ハロペリドール、クロキサゾラムなどを用いたが、どれも特に効果があるものはなかった。
と、そんなこんなで1年4ヶ月の入院生活が終わります。次は外来治療です。
いやはや、行動療法のオンパレードですな。山上氏がそういう方面の人だからそういう方針なのだと言えばそうですけども、ご苦労がしのばれます。
関係ないけど、モニタに向かいながら書物を引いたりメモ書きするのがえらく困難な状況だと今更気付きました。という訳で外来編は後ほど。誰かいいPCデスクを買ってくだちい。